FM宮古島

もう何年も昔の話。まだお笑い時代の事。僕はひげモグラという明らかに売れそうもないコンビを組んでいた。(このコンビは2年活動しましたよ。)仕事も定期的な小屋(劇場の事ね)への出演以外はほとんどなく朝はレンタル屋、夜はゲームセンターの店員と荒んだ生活を送っていた…
そんな時、Y本興業の事務所の所長から電話があり、「至急話があるから今から来い!」と電話があったので用事をキャンセルして事務所に向かってみた。
すると、所長からありがたい言葉が。「お前らも頑ばってんねんからレギュラー番組どや?」と言われ、あまりの唐突な言葉に頭が真っ白…
ようやく苦労の日々も報われるんだなーと思うと何も言葉がでなかった。「やるのか、やらへんのか?どっちやねん!」イキナリ切れ気味!まじで怖い方だったので、しかもレギュラーなら文句なし!OKしたところ所長から「仕事はな、FM宮古島や。しかも月~金の帯や。」ちなみに帯とは毎日ということである。(目覚ましテレビとかも帯やね)
FM宮古島?そんなのあるのか?しかも帯なら月~金は宮古島在住じゃん!
まさか通えないし… しかし、帯はなんだかんだでかなり魅力である。
相方も「宮古島からブレイクしようや」と楽天的なとこを見せる始末。
こうなりゃFM宮古島で好きな音楽かけてパラダイス感覚で行くぜ!と気持ちをきりかえた。
念のため番組の趣旨を所長に尋ねたところ「朝の5時55分から6時までの間や。鉄道について語んねん。」
……まじかよー?5分て!しかも鉄道についてって!言うなればラジオ版「世界の車窓から」かな。いやいや無理でしょ!映像ないし。早朝に誰が売れない芸人の鉄道話聞くんだろうか?しかし受けてしまったからにはやるしかない!もしかしたら面白いラジオがあるといって東京から取材があるかもしれない。
「次の月曜日からやから。」だって。…って今時計みると土曜日の夕方だよ!明後日からかい!と突っ込みたくなる。日曜日の最終便でにフライトらしい。
早速何やらかんやら準備して、さあ大変。
親や友達はたまた同期の芸人にも別れを告げ宴会を開いてもらう。
バイトも辞めると店長に伝える。みんな「頑張ってくださいね!」と期待を寄せる。
そして…
日曜日。事務所で所長を待つ。待つ。待つ…こと2時間。誰も来ない…すぐに電話すると………
眠たい声で所長の一言。「あれ、うそやで。ふぉっ ふぉっ ふぉっ」
その後の事は言うまでもない。
バイト先に行き「もう一度働かしてください!」と懇願。
同期からは宴会の酒代の請求。
結局面白ければいいと言う社会なんで僕らも大うけで終わりました。
ちなみに以前私は鉄道マニアでした!
                           終わり
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