新規事業が失敗する理由は「変化病」だった|既存事業を深掘りすべき本当の理由
過去を振り返ると、新規事業をやっている時期は、だいたいうまくいっていません。
それは「既存がダメだから新規に手を出す」という、順番の間違いが原因だと考えています。
この記事では、なぜ社長は既存事業を深掘りできないのか、その正体である「変化病」について、自分自身の反省も込めて書いていきます。
この記事で分かること
- 新規事業がうまくいかない、本当のタイミングの問題
- アンゾフのマトリクスから見た「新規事業」という概念の怪しさ
- 社長が陥りやすい「変化病」の正体
- 既存事業を深掘りした先に、自然な変化が生まれる理由
新規事業を始めるタイミングが、そもそも間違っている
過去を振り返ってみると、新規事業をやっている時期って、だいたいうまくいっていません。
これ、ずっと不思議だったんです。新規事業って本来「攻めの一手」のはずなのに、なぜかうまくいかない。でも最近、理由がわかった気がします。
多くの場合、新規事業をやるのは「既存がダメだから」なんですよね。既存事業の数字が落ちてきた、伸び悩んでいる、なんとかしなきゃ——そこで初めて「新しいことをやろう」となる。でも冷静に考えたら、これは順番が逆なんです。
新規事業って、本来は既存がうまくいっている時にやるべきものだと思います。体力があるうちに、余力があるうちに仕掛ける。既存がダメな時に新規に手を出すのは、体力がない状態で全力疾走するようなもので、そりゃ続きません。
そもそも「新規事業」という概念自体が怪しい
アンゾフのマトリクスを持ち出すまでもなく、事業を広げるなら本来は周辺領域から広げていくべきなんですよね。既存の顧客、既存の商品、既存の強み——そこと地続きの場所に染み出していく。
そう考えると、「新規事業」という、既存と切り離された概念自体が、あまり意味をなさないのかもしれません。うまくいく拡大は、だいたい既存の延長線上にあります。
社長は「変化だ!」と言いたがる
社員には「変化しよう」「新しいことに挑戦しよう」なんて言う社長は多いですし、正直、自分も言ってきた自覚があります。
でも実際のところ、利益が出るのは既存事業を深掘りした時なんですよね。これは経験則として、かなり確信を持って言えます。
じゃあなぜ、深掘りせずに新しい方向に行きたがるのか。答えはシンプルで、社長という生き物が「変化病」にかかっているからだと思います。
セミナーに行けば「変化しなきゃ」と思う。本を読めば「変化しなきゃ」と思う。刺激を受けるたびに、何かを変えたくなる。でも、その刺激の中に「今あるものをただ深く掘り続けろ」なんて話は、ほとんど出てきません。深掘りは地味だから、誰も語らないし、誰も煽らないんです。
なぜ既存事業を深掘れないのか

たぶんこれに尽きます。深掘りは「繰り返し」であって、「変化」ではないから。
社長というのは変化に飢えている生き物で、繰り返し作業に価値を感じにくい。刺激がないから、途中で飽きて、つい新しい方に逃げたくなってしまう。
でも、本当はここからが大事なところで。
- 事業を定める
- 深掘る
- 面白くなくなる
- それでも掘り続ける
- するとそこから、ふとアイデアが着想として出てくる
- 気づけば、自然と変化が起きている
この順番なんですよね。変化って、狙って起こすものじゃなくて、深掘りの先に「勝手に生まれてくる」ものなんだと思います。つまらなくなった瞬間に手を止めて新しいことに逃げるから、いつまでも中途半端な変化しか起こせない。むしろ、そのつまらない時期をちゃんと通り抜けた人にだけ、本物の着想が降りてくるのではないでしょうか。
だから、変化を狙って追いかける必要はありません。深掘りをやり切っていれば、変化は自然と、しかも素晴らしい形でやってきます。
よくある質問
- Q. 新規事業はどのタイミングで始めるべきですか?
- A. 既存事業がダメになってからではなく、既存事業がうまくいっていて余力があるタイミングで始めるべきだと考えています。
- Q. 「変化病」とはどういう意味ですか?
- A. セミナーや読書などの刺激を受けるたびに「変化しなきゃ」と考えてしまう、社長に多い傾向を指した造語です。地味な深掘りより、目に見える変化を求めがちになる状態です。
- Q. 既存事業を深掘りしても面白くならない場合はどうすればいいですか?
- A. 面白くなくなる時期は誰にでも訪れるものだと考えています。そこで手を止めて新しいことに逃げるのではなく、掘り続けた先で自然とアイデアが生まれてくるのを待つことが大切です。
- Q. 事業拡大は新規事業ではなく何を意識すべきですか?
- A. アンゾフのマトリクスの考え方にもあるように、既存の顧客・商品・強みと地続きの「周辺領域」を意識した拡大が望ましいと考えています。
まとめ
- 新規事業は「既存がダメだから」始めると、だいたいうまくいかない
- 新規事業は、既存がうまくいっている時にこそ仕掛けるべき
- 事業拡大は、周辺領域への広がりであるべきで、「新規事業」という切り離された概念は本来存在しない
- 社長は「変化病」にかかりやすい生き物。セミナーや読書のたびに変化したくなるが、深掘りの話はほとんどない
- 本当に利益を生むのは、派手な変化ではなく、地味な繰り返し=深掘り
- 深掘りを続けると、途中で必ず「面白くない時期」が訪れる
- でも、そこを通り抜けた先にこそ、本物のアイデアと自然な変化が生まれる
新しいことに手を出す前に、まず自分に聞いてみたいと思います。「今の事業、まだ“面白くない時期”を通り抜けていないんじゃないか?」と。
※本記事は代表個人の経験に基づく所感であり、特定の事業・案件を指したものではありません。